だしママプロジェクト

  • 専門家コラム2018.06.14

お母さんと子どもにとって心が和らぐ、だしのお話【第3回】

母子栄養協会の代表を務め離乳食・幼児食アドバイザーとして、日々お母さんたちの声に接している川口由美子さん。食育とは「"栄養バランスのいい食べ物"を "楽しみ"ながら"長く続けること"の3つが大切で、最終的には子供が自分で食べ物を選ぶ力を養ってあげること」だと仰います。そこで食育に大切な3つの柱を満たすため、日々の食卓にどのようにだしを使ったらいいか、お話していただきました。

食の対話を長く続けて"帰ってくる味"をつくってあげる。

食育とは「子どもが、ひとりで食ベものを選ぶ力を持てるように育てること」だと私は思っています。食べてほしくないものを「避けること・止めること」ができるのも親の目の届くまで。学童期などお小遣いをもらって、自分で買い物ができる時期に、着色料や化学調味料の効いた食品を「あれ...?」と思える感覚や、ファーストフードを食べても「昨日はハンバーガーを食べたから、今日は野菜をたくさん摂ろう」と考えられること。そんな「食選力」を身につけることが、食の自立への第1歩だと思います。

ただし「食選力」は、1日にして育たず。妊娠期から食のことを考え、生まれてからも料理をルーティンにし、つくっては子どもの反応を見てと絶えず食の対話を行うなかで、よく使う食材や得意な味つけが定着し、その家ごとの味わいができあがり、子どもの味覚が育っていきます。

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わたしたちがうなぎ屋の前を通りかかったときに思わず涎が出るように、おいしそうな香りや見た目や音は、脳のなかの記憶と結びつき体が反応します。脳が「このあとおいしい食事が出てくるな」と感じると、消化吸収を促す涎を出し、体は食べる準備を始めるのです。ですから、子どもがただいま〜と家に帰ってきたときに、コンコンコンと野菜を切る音やおだしのいい香りを感じて、涎が出るのはとてもいい兆候。食事の準備をする姿を見せることもまた食育なのです。

台所の香りや音に子どもが安心したりリラックスしたり。つくづく、食卓づくりは家族の健康づくりだと思います。いつか子どもが社会に出て、たとえ一時的に我が家の味から離れることがあっても、時間が経ち、家のお味噌汁の味が懐かしくなれば、自分でつくってみようとするでしょう。子どものなかに根付いている味があれば、"帰ってくる"ことができるのです。毎日の食卓は、子どもの一生の食と地続きの道。継続してつくり続けること、それが大事なことだと思います。

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専門家紹介

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管理栄養士 川口由美子さん

<プロフィール>
一般社団法人 母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師 /AllAbout「離乳食」「幼児食」「妊娠中の食事」ガイド/栄養士事務所Food-Medi代表
離乳食レストランのアルバイトから大学の小児栄養学を経て、ベビーフードの開発に携わりました。その後、独立し、様々な経験を重ねたあとフリーランスとして独立。
雑誌に離乳食レシピやコラムなどを掲載したほか、著書出版やテレビ出演などを生業とし、海外(中国・インド)に合計12年在住していた間にも執筆活動を行いながら、現地でボランティア活動などを行う。



<食育への思い>
「日本の食卓をもっと元気にもっと笑顔に」をモットーとし、日本のママ達が育児を楽しくなるようなお手伝いができたらいいなと思っております。