• だしと私 2018.12.04

vol.3 オルガン/ウグイス 紺野 真さん

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「深み鰹白だし」を使って

フレンチビストロ料理を作る

 

東京、西荻窪でフレンチビストロを経営している紺野さん。今や「西荻窪にオルガンあり」と言われ、予約が困難なほどの人気ぶりですが、その理由の一つが、紺野さんのおいしい料理にあります。

オルガンの料理は、フレンチを軸とした繊細かつ自由な発想のメニュー。自身の目で選んで仕入れている旬の食材のおいしさをさまざまな手法で引き出し、複雑で奥行きのある味わいに仕上げています。オルガンのもう一つの魅力といえば、ヴァン・ナチュール。自然派と言われるワインです。自然なままのワインと、オルガンの自由な発想の料理とは相性抜群。そして、そんな自由な料理だから、日本のだしにも合うかもしれない......。

そんな希望に見事に応えてくれたのが、やいづ善八から新発売の「深み鰹白だし」を使ったメニュー。なんと、白ワインマッシュルームソースを添えた鱈のポワレに、鶏手羽先とアボカドのメキシカンスープ。

10月に実施された「深み鰹白だし」の発売記念イベントでは、紺野さんにこのメニューのデモンストレーションをしていただきました。

なぜ、この料理に「深み鰹白だし」を使おうと思ったのか、どのようにレシピは出来上がったのかを探るべく、デモンストレーションの様子をお伝えします。

 

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鱈のポワレのソースに

「深み鰹白だし」を効かせて

 

今回は、どちらの料理にも、身近に手頃な価格で買える食材を使っていただいたそう。

「新鮮であれば、スーパーマーケットの特売商品でもおいしくできます。鰹だしが、素材の味を底上げしてくれるから。今回ご紹介するメニューは、どちらも"めちゃ簡単"です。誰も失敗せず、絶対においしくできるはず!」と紺野さん。

「例えばこの鱈のポワレのソースは、白だしを使うこと以外は完全にフランス料理です。本来は、フュメ・ド・ポワソンとかフォン・ブランと言われるフランス料理の魚のだしを使います。僕らは普段、4時間くらいかけてそのだしを取っているんですが、この白だしを使うことで、なんと5分ででき上がってしまう。正直、店で出したいくらいですよ(笑)」。

まずは、白ワインを煮詰めることから始めます。

「使うワインは辛口の白ワインならなんでも合いますが、呑みたいワインでソースを作れば、料理とワインの相性も最高ですね。白ワインを弱火にかけ、水分がほぼなくなってミロワール=鏡のような状態になったら、生クリーム、白だし、マッシュルームを足します。煮詰める際には、焦がさないように注意してください。これで既に、すごくおいしい。鰹だしが入る分、もともとのソースの味よりも軽やかに仕上がります。ここに冷やしたバターを足すと、フランス料理特有のコクととろみがつきます」。

このソースを焼いた鱈にかけるだけ。

「塩を振った魚を、多めの油で焼きます。こんなに油使うの?と不安に思うかもしれませんが、温度を途中で下げることなく一定に保って焼けば、余計な油を吸うことなく、かりっと仕上がりますよ」。

 

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鶏だし×鰹だしという

ダブルのうま味がたまらない

 

もう一品のメキシカンスープは、紺野さんのアメリカ修行時代の思い出の味。

「僕が働いていた西海岸のレストランは、厨房で働く人はほとんどメキシコの人。そこで教えてもらったり、外食でも多かったりしたメキシコ料理の一つがこのスープ。オルガンの賄いでもよく作ります」。

ポイントは、骨付きの鶏肉から出るスープと「深み鰹白だし」というダブルのうま味。

「鶏肉は骨からいいだしが出るので、骨付きがおすすめです。焼くときは、鍋底に鶏皮がくっついてぼろぼろになりやすいので、なるべく動かさないこと。アボカドとトマトは最後に加えることで、トマトベースではなく、澄んだ仕上がりのスープに。唐辛子を入れるとさらにエキゾチックになりますよ」。

ライムを絞っていただくと、もうこれはビールが進む味! 発売イベントでは、ヴァン・ナチュールと同じように、ナチュラルな製法で作られているフランス・ロワール地方のビールを合わせてサーブされました。

 

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世界各国のおいしさは

ナチュラルな方向へ向かっている

 

「今は、フランスのきのこやイタリアの珍しいヴィネガーなど、世界中の食材や珍しい調味料を新鮮なうちに手に入ることも今はできるようになったし、パリのトップレストランが考案した調理法が1ヶ月後には東京で取り入れられていたりもする。そんなボーダーレスな世の中が全体的に向かっているのが、よりナチュラルであること。

例えば前は、バターをかけながら焼いた肉に濃厚な赤ワインのソースをかけていたけれど、今はさっと焼いた魚にさらっとしたソースをかける。つまり、旬の食材や素材をそのまま生かすような料理になってきたんですね。

ワインも同じで、前はロマネ・コンティなんかを出していた有名なレストランやガストロノミーでも、今はヴァン・ナチュールを出すようになってきた。

器も金の縁取りをした豪華なプレートよりも、土の風合いを残した作家ものの器のほうが今っぽいとされるようになってきた。つまり、より素材感を感じるものが今の主流なんだと思うんです」。

その流れに、食材の持ち味を生かすことができる鰹だしはとてもフィットするのだと、紺野さんは話してくれました。

「だしをフレンチやメキシカンに使うのは、僕にとっては何も不自然なことじゃない。むしろ当たり前のことなんです。いろいろな国の料理が持つうま味は、どこか共通する部分があります。だしってうま味の入った液体だと思えば、鶏もカツオも同じ。同じアプローチで使えると思うんです。だから、「深み鰹白だし」を使ったレシピは山ほど思い浮かぶ。本当に使いやすいんです。なによりだしの味の質がいい。嫌な後味がなく、自然な風味で好みです」。

 

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ツレヅレハナコさんも

手軽に作れる2品をご紹介

実は「深み鰹白だし」のレシピブックは、「酒に合うだし料理」がテーマ。

そこで、食と酒と旅を愛する編集者、ツレヅレハナコさんにもお手軽料理を2点、提案していただきました。

「この「深み鰹白だし」は、料理に苦手意識があっても、疲れて気力がないときでも、おいしいものが食べたいという人を助けてくれる調味料ですね。イチから丁寧にだしをとるのもいいけれど、これさえあれば自分好みの味になる。添加物に対する罪悪感も持たずに済むし、素直に使いたくなるおいしさです。和え麺などにも重宝しそう」とツレヅレハナコさん。

レシピブックに掲載されている梅とろろうどんは、300ccの水に、「深み鰹白だし」大さじ2を加えて煮立たせるだけで、うどんつゆができてしまう手軽さ。

「みりんも何も入れなくてもおいしくなる。時間も気力も体力もないとき、例えば二日酔いのときだって、風邪をひいたときだって、これなら作って食べたくなる。本当に弱ってるときは、麺なしでもいいかも」。

さらに、もう包丁も持ちたくない!というときには、イカ刺しの薬味和えがおすすめ。

「とりあえず、イカ刺しさえ買って帰ればできるんです。ごま油とすりごまに「深み鰹白だし」を混ぜた和え衣は、これ以上ないくらい簡単だけど、ちゃんと満足感がある。料理したい気分のときは、手間のかかる料理を作るのも楽しいけれど、切るのすら無理ってときは、こんなレシピを知っているだけで安心ですよね」。

 

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さて、料理のデモンストレーションの後は、試食タイム。みなさま、口々に「おいしい!」と笑顔。

発売イベントに参加していた料理研究家「ごはん同盟」のしらいのりこさんからは、「白だしって、なんとなく引っかかる味のものが多いけれど、この「深み鰹白だし」はごく自然に料理となじみ、すごくおいしい。さすがやいづ善八!」とコメントをいただきました。

 

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「深み鰹白だし」についてはこちらから>>

 

取材・文/藤井志織

プロフィール

紺野 真

ワインバー&ビストロオーナー。学生時代に渡米し、飲食店でアルバイトした経験を経て、帰国後にカフェやビストロで修業。修業時代に自然派ワインと出合い、そのおいしさの虜になる。2005年に世田谷・三軒茶屋にuguisuをオープン。2011年に2軒目となるorganを杉並・西荻窪に開業。

ツレヅレハナコ

食と酒と旅を愛する編集者。おいしいものに囲まれた暮らしを綴るインスタグラム @turehana1 も大人気。著書に『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』、『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(共にPHP研究所)、『ツレヅレハナコのじぶん弁当』(小学館)、『ツレヅレハナコの食いしん坊な台所』(洋泉社)がある。