• だしと私 2021.10.08

vol.37 〈da Rio〉オーナーシェフ 中島亮平さん

和の要素を取り入れた、食べ疲れないイタリア料理

これまで取材させていただいたさまざまな方から、「鰹だしは洋食とも相性がよい」と聞いてきたこともあり、〈やいづ善八〉では、製品をシェフや料理人の方々にトライしていただいています。

今回のゲストは、みんなが「秘密にしたい(混んで入れなくなったら困るから)」と口にするイタリア料理店〈da Rio〉のオーナーシェフ、中島亮平さん。

さて、イタリアンシェフ、中島さんのだし料理とはいかに。

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イタリア料理店としては珍しく、鱧やあなご、瓜いった和食でおなじみの食材や、平家きゅうりや葉ごぼうといった在来種の野菜がよく使われている〈da Rio〉。モロヘイヤとナスがタルタルになっていたり、きゅうりがジェラートになっていたり、見た目も味もイタリアンなんだけど、なんだか親しみ深くてやさしい。そのおいしさが、季節ごとにうかがう楽しみともなっています。

「もともとイタリアンと和食って素材の使い方が似ていませんか? だからか、和食にオリーブオイルを使うのが好きで、特に魚とオリーブオイルの組み合わせは最強だと思っています。日本で仕入れた魚を使うから、和食との共通点は多いかもしれません」

と中島さん。魚は大船渡から仕入れるなどこだわっていて、自身でも釣りは趣味のひとつ。

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「うちはメイン料理が炭火焼きの肉なので、前菜に魚を使うことが多いんです。イタリアだとシチリアやカンパーニャ地方で魚をよく使いますが、それらをベースに日本の食材でアレンジして」

松茸の土瓶蒸しのような和の料理法も取り入れているから、鰹だしへの抵抗もなかった様子。

「いざ使ってみたら、めちゃくちゃおいしくて。最初に作ったのはチェリートマトと荒節のアクアパッツァでしたが、うま!って声が出ましたね(笑)」

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やきつべのだしを乾物のように1晩、水に浸けてから使ったそう。

「やきつべのだしもだしプレッソも、調味料が入っていないから、料理に使いやすいですよね。本来ならブロードを使うところを、鰹だしやだしプレッソに置き換えてみる。深み鰹白だしはコラトゥーラみたいに使えるし。素材の特性に合わせて、ピクルスやソーミュールに使うのも面白いかも。イタリア料理をベースにだしでアレンジしていくと、可能性は無限大ですよ」

こちらは深み鰹白だしを焼きなすのペーストに入れて青柚を効かせ、貝割れやミョウガ、赤玉ねぎ、炙ったわらさを添えたひと品。焼きなすと鰹だしのスモーキーな味を合わせ、コラトゥーラの代わりに深み鰹白だしを使っているのがポイント。ワインビネガー、オリーブオイル、にんにくの風味もプラスしています。わらさを鰹のたたきに替えてもおいしそう。

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はたまたプーリア風のオレキエッテは、ブロッコリーをくたくたに煮てアンチョビでコクを出すところを、枯節を使って滋味深く。本来は焦がし小麦を使うというパスタなので、枯節のスモーキーさがちょうどいいニュアンスに。

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イタリアでは鶏がらだしと豚肉、生ハムを使ったブロードに浮かべるトルッテリーニは、ブロードにだしプレッソを使い、フィリングにはホタテの小柱と生ハム、パルメジャーノを詰めて。

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〈da Rio〉の料理は食べ疲れすることなく、お腹いっぱい食べてもまたすぐに食べたいと思う味。その理由の一つは、和を上手に取り入れているからかもしれません。

「大人のお客さまも多いから、だしの風味を隠し味にした料理は喜んでいただけそうな気がします。ワインだけでなく、日本酒や焼酎にも合いそうだし」

料理に合わせて提供される自然派のイタリアワインにもファンが多いものの、繰り返す緊急事態宣言による夜間の営業時間の短縮や、酒類の提供禁止など、思うような営業はなかなかできません。

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「でも休業は考えませんでした。夜がダメでもランチを始めてみようとか、お酒がダメでも料理は出せるとか、物販コーナー〈SUOLO〉も始めたし、テイクアウトも面白いし、できることはまだまだたくさんある」

〈SUOLO〉には、パスタや古代小麦、オリーブオイルやビネガー、トマトソースといったイタリアの食材のほか、長崎の島原そだち製麺所の全粒粉の麺や、愛媛の梶田商店の巽醤油など、国内外のこだわりのフードアイテムが並んでいます。自家製のパスタバターやジェラートも販売。

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ずっと大きな店舗で働いてきたので、独立するときは自分の手が届く範囲で、お客さまの近くで料理を出したかったという中島さん。その夢がかなって3年めの今、ますます楽しみな〈da Rio〉です。なんと最近、お店のメニューにも「真イワシのバルサミコ酢と白だしのマリネ」が登場した模様。ぜひチェックしに訪れてみてください。

取材・文/藤井志織

プロフィール写真1(トリミング).jpgプロフィール

調理師専門学校を卒業後、レストランやイタリアで修行を積み、2018年に独立。東京西荻窪に〈da Rio〉をオープンし、2020年には隣に〈SUOLO〉をオープン。ソムリエの新藤桂一郎氏とともに、店を切り盛りしている。日々の食材やワインについての情報発信、営業時間や定休日についての詳細はインスタグラム @da_rio_nishiogi にて。