YAIZU ZEMPACHI LETTER
「だしを私らしく楽しむ」というコンセプトを掲げる「やいづ善八」では、素材の味を引き立てるだしのおいしさを伝えるため、不定期で料理教室を開催しています。
2025年7月には、同じ静岡県の浜松で営業している「手打ち蕎麦 naru」、通称なる蕎麦にて、店主の石田貴齢さんに料理を教わりました。SNSでの募集は、あっという間に満席に!
今回は定番のだし巻き卵を始め、蒸しなすや季節の蕎麦つゆなどを「やいづ善八」バージョンにアレンジしたレシピを教えていただきました。
まずは参加された方々に、「やいづ善八」のだしを試飲いただくところからスタート。「やきつべのだし」でとった荒節、それに塩をひとつまみくわえたもの、塩を加えた枯節という3種のだしを、それぞれ味比べしていただきます。
「塩を加えたものを飲むと、やきつべのだしには食塩が入っていないことがすごくわかる」
「うちのお味噌汁には荒節が合いそう」
「比べると、塩ひとつまみとは思えないほど塩味を感じる」
「枯節のほうがすっきりした味」
といった声が聞こえてきました。そもそも鰹節には荒節と枯節があることをご存知だったり、その違いを意識したりしたことがある人のほうが少ないかもしれません。そこでスタッフが「みなさまがイメージされる鰹節より黒くてゴツゴツしているこちらが荒節です。スモーキーな香りですよね。それにかびをつけて半年ほど熟成させたものが枯節です」と、実物の鰹節を手にご説明。
「一般的に販売されている簡易だしは、煮干しや昆布がブレンドされているもの、塩分を加えているなどが多いんですね。やきつべのだしは塩分も調味料も入っていないので、物足りないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときはお塩やお醤油を足すと、味を感じやすくなると思います」
参加者のみなさまに鰹だしのそのものの味を知っていただいたところで、いよいよレッスンのスタートです。
Webに連載している「だしと私」にもご登場いただいていますが、石田さんは若かりし頃、東京の立ち食い蕎麦に焦がれ、ヒップホップ衣料のバイヤーとして滞在していたニューヨークで和食の魅力に開眼。地元浜松に帰ってなる蕎麦をオープンしたのが17年前のこと。
「なんとかなる」から名付けた店名のもと、今では行列ができる大人気店になりました。お客さまのほとんどがオーダーするだし巻き卵は看板商品のひとつ。
「浜松では、お蕎麦屋さんはごはん屋さんとしての存在です。でも僕は東京で知った、お酒を飲みながら時間をすごす"蕎麦前"という形態が好き。このだし巻きには、"蕎麦屋は呑むとこですよ"という想いが出ていますね。お酒のアテになるような、しっかりした味付けなんです」
まずは味の決め手となる割下を作ります。「香る鰹だし醤油」と「だしプレッソ 鰹節」を両方使い、鰹の濃い風味を出すのがポイント。
「砂糖は80度くらいで溶けるので、泡が出るくらいまで火にかけてから混ぜること。それから鍋を火から下ろして氷水に当て、急冷させましょう。香りは揮発性ですから、素早く冷ますことで風味を逃さないようにするのです」
溶き卵に割下を加えたら、銅製の卵焼き器で焼いていきます。
「卵液がゆるいので難しいと思いますが、最初の芯になる部分ができれば、あとは繰り返すだけ。巻くときは、フライ返しを使ってもいいですが、固まった部分に箸を刺して返すといいですよ。巻いたら端に寄せ、次の卵液を端からかけるように流し入れます。固まった部分を少し持ち上げて下側にも卵液を流し、また巻いていく。油はその都度足してくださいね。一度に欲張らず、薄く薄く巻くことでふんわりとした食感になり、食べたときに風味が感じられるようになります」
次は、「混ぜ込みご飯の素 ガーリックライス」を使ったガーリックポテトサラダ。じゃがいもを皮ごと蒸している間に、フライパンに混ぜ込みご飯の素を入れ、なまり節をつぶしながら水気を飛ばします。
「これ、おいしいんですよ。ビールによく合う。好みでニンニクを追加してもいいですね。はねるときは、フライパンを傾けて片隅に寄せるといいですよ」
じゃがいもは熱々のうちに皮をむいて、混ぜてください。全体がペースト状になると味がのっぺりしてしまうので、粗く混ぜるくらいでOK。オリーブオイルを足すとなめらかになりますが、じゃがいもの水分が多すぎるようだったら省きます。レモン汁は、味の輪郭がくっきりするので必須。マヨネーズは自家製がおいしいので、ぜひ試してみてほしいですね」
最後は甘夏塩ソースを添えた蒸しなす。甘夏塩は多めに作って冷凍しておけば、一年中楽しめます。
「皮をむいて蒸したなすを保存容器に入れ、『だしプレッソ 昆布』と『深み鰹白だし』を混ぜたものに浸けて、冷蔵庫でひと晩寝かせておきます。キッチンペーパーをかけておくと、満遍なく味が染みるはず。ここに甘夏塩ソースをかけるだけで、気の利いたひと皿になります。ほかにも白身の魚を和えたり、冷しゃぶにもよく合いますよ」
レッスンはここで終了しましたが、太っ腹な石田さんは、なんとおまけのレシピもたっぷりご紹介してくださいました。
「うちの人気メニューに、くるみダレやかぼちゃつゆというものがありまして。今回はその夏バージョンとしてズッキーニの蕎麦つゆを考えました。ズッキーニのポタージュと麺つゆを合わせたようなものなんですが、『つゆプレッソ』に『だしプレッソ 鰹節』を加えると、なる蕎麦っぽい濃い風味になりますよ。できれば圧力鍋で加熱してから、網などで漉して繊維を取り除くとベストです」
ズッキーニ蕎麦つゆでいただいた手打ち蕎麦は格別のおいしさ! さらに『さくさく鰹ふりかけ』の食感がアクセントになった納豆春巻きと、トマトをまるごと炊き込んで、『だしプレッソ 昆布』と『深み鰹白だし』で調味したトマトご飯も。
「納豆春巻きは、噛むとほのかに鰹の味がする。巻いておいて冷凍しておくと、お弁当などにも便利ですね。トマトご飯は炊き上がったらしゃもじでしっかりと混ぜて、また蓋をして蒸らすのがコツです」
アレンジする場合の代替食材なども教えていただきつつ、レッスン後はみんなで豪華なランチセットをいただきました。
今回ご提案いただいたメニューは、どれもやいづ善八の商品を使えば手軽にできるものばかり。最後にガーリックポテサラのレシピをご紹介するので、ぜひお試しください。
【ガーリックポテトサラダ】
【材料(5〜6人分)】
じゃがいも 中4個(約400g)
混ぜ込みご飯の素 ガーリックライス 1袋
セロリの葉(しそやみょうがでも可/みじん切り) 1本分
イタリアンパセリ(パセリでも可/みじん切り) 適量
レモン汁・オリーブ油 各大さじ1
マヨネーズ 大さじ2
塩・黒胡椒 各適量
【作り方】
1 じゃがいもをよく洗い、柔らかくなるまで皮ごと蒸して皮をむく。
2 フライパンにオリーブ油と混ぜ込みご飯の素を入れて火にかける。なまり節をヘラでつぶしながら、水気が飛ぶまでかるく炒める。
3 1のじゃがいもをボウルに入れ、ヘラで粗くつぶす。熱いうちに2とレモン汁を加えて混ぜる。
4 マヨネーズ、セロリの葉、イタリアンパセリを加えてざっくりと混ぜ、塩、黒胡椒で味を調える。冷やしてもおいしい。ナッツやチーズ、アンチョビを加えても。
取材・文/藤井志織