YAIZU ZEMPACHI LETTER
インスタグラムで発信される料理のファンは約4.7万人。2025年の2月には初著書『始末のよい料理』を発売した料理家のleikogaさん。
いちばんの好物はだしと話すleikogaさんに、だしを使った日常料理について教えていただきました。
leikogaさんにとって料理はライフワークでもあり、家族を喜ばせるためのものでもあります。
「夫婦ともにだし汁が大好きで、料理のベースとしても頻繁に使います。今日か明日は和食だというときは、鰹節と昆布でふんだんに取って冷蔵庫に入れておくんです。ただね、かさばるので毎日というわけにはいきません。煮物やおうどんには、簡易なだしパックを利用したいなと思うんです」
ところが問題はご主人の肥えた舌。好きな味じゃないと箸が進まないのだとか。
「夫は正直なことを言うタイプで、例えばお蕎麦は築地で買った本枯れ節の圧削りで取っただしじゃなきゃいやだ、っていうこだわりがあるんです。
普通の鰹節で作ると『違う違う』って言われちゃう。お味噌汁なら、血合のない鰹節と昆布のだしがいいとか。しかも常に家にはだしがあるものだと思っているんですよ。こっそり市販の簡易だしを使うと、たいていバレて文句を言われる(笑)」
でもやっぱり急いでいるときは頼りたいから、これまでもいろいろな市販品を買って試していたのだとか。やいづ善八と出合ったのは、コロナ禍にSNSを初めたのがきっかけ。知人が「やきつべのだし」を使っていたのを見て、買ってみたのだそう。
「それなに?」って聞いたら、うちの近くのデパートでも売っているよと教えてくれて、すぐに買いに行きました。特にだしプレッソが便利で、ポン酢や和えもの用にだし汁がちょっとだけ必要、というときに重宝しています。枯れ節のだしパックは鰹の香りがちゃんとするからお蕎麦に使ってみたら、夫も『今日はいいだしがとれてるね』って(笑)。それで深み鰹白だしや香る鰹だし醤油も使うようになりました。それまで、いろいろなメーカーの白だしを使ってみたけれど、なかなか好みに合わなかったのですが、「やいづ善八のは好き」
写真の肉じゃがは、豚切り落とし肉とじゃがいも、にんじん、新玉ねぎを使ったもの。いつもは茶色の煮ものになるところを、深み鰹白だしで作ったら上品な色に仕上がって大満足。さっとゆでた菜花を合わせて。
「だしパックは、お味噌汁にもよく使っています(写真はトマトと生のりの味噌汁)。普段はポン酢をかけていただく海藻にも、だしプレッソ+香る鰹だし醤油をかけたり。わが家の定番である山椒鍋(『始末のよい料理』に掲載)もだしパックとだしプレッソ昆布をブレンドしたり」
「茶碗蒸しは大好物だけど、1人分を作るためにだしを取るのは面倒。だしが余った時に作ろうと思っていても、そんなタイミングはそうそうありません。そんなときもやいづ善八の出番。副菜としてちょこっと必要な煮物も、手軽に作れるようになりました」
写真の茶碗蒸しは、だしになめこを入れてとろみをつけた餡をかけたもの。
「ポータジュなどの洋風の料理にもよく使っています。バターと水と野菜だけで作ると、夫に物足りないって言われちゃうから鶏ガラスープなんかを使っていましたが、外食先でだしを使ったすり流しのようなポタージュをいただいて、なるほど!とヒントになりました。だしを使うとあっさりしているけれど旨みがあって、水+バターで作るよりもおいしくなるんです。和食にも合うし、洋風に仕上げるならオリーブオイルと胡椒を振ってもいい」
ほかにどんな料理に利用しているのかも、教えていただきました。
⚫︎あんかけオムライス
しらすと実山椒を炊き立てのご飯に混ぜ、だしプレッソ鰹を使ったかき玉の餡をかけて。
⚫︎カリフローレの卵とじ
自分だけの夕飯のとき、なにか簡単に作れるもので済ませたい、というときに。だし汁にカリフローレを入れてふたをして1〜2分煮てから、溶き卵を流し入れ、深み鰹白だしで調味。
⚫︎ごぼうの粕汁
やきつべのだし 荒節を使って、豚肉、大根、ごぼう、春菊を粕汁に。
⚫︎白菜の餡かけ
千切りの白菜をだしプレッソ 昆布でさっと煮てからいったん取り出し、やきつべのだしを加えて煮立ったら、葛粉か片栗粉でとろみをつけ白菜を戻し入れ、柚子胡椒を添える。『始末のよい料理』に掲載の「大根の餡かけ」を参照して。
⚫︎ホタテのちらし寿司
冷凍庫に常備しているホタテを解凍して昆布締めにしておく。さっとゆがいた菜花をだしプレッソ 昆布と深み鰹白だしに浸し、水気を切って酢飯に加える。ホタテと山椒と、酢水にさらしたうどを散らす。
⚫︎干しぜんまいの煮物
お揚げやこんにゃくを入れず、干しぜんまいのみをだしプレッソ昆布で煮る。ナムルを作るのにも便利。
⚫︎白菜タンメン
ひき肉を炒めて、水とやきつべのだし、白菜、しいたけを加えて煮たものを、ゆでた麺の上にのせて。ラー油をかけていただく。
leikoga家では、特にだしプレッソ 昆布が大活躍。
「わが家のおからは、干しダコの戻し汁で炊くんですが、仕上げにだしプレッソ 昆布を加えたらさらにおいしくなりました。熟成酒粕に漬けた豚肉をソテーしたときも、フライパンに残った肉汁にだしプレッソ 昆布を足してソースを作り、そこにお肉を戻して軽く煮たら、お肉が柔らかくなって、旨みが倍増。チャーハンの仕上げにも、酒の代わりにだしプレッソ 昆布を使うと、パラパラになるうえコクも出ますし。これが粉末の昆布だしだと、粘りが出ちゃうんですよ」
特に最近、ハマっているのがつゆプレッソ。もともとお昼に麺類を作ることが多いleikoga家ですが、取り寄せた生うどんに好みの具材を合わせ、つゆプレッソをかけて食べる「ぶっかけうどん」に夢中だそう。
「ゆでたての熱々のうどんに、クロメ(海藻)、しらす、ねぎ、卵、鰹節、つゆプレッソをかけて、混ぜて食べるだけ。これがすごくおいしくて何度も作りました。もう少し甘さが控えめなほうが好みではあるんですが、つゆプレッソはとにかくうどんと合う! 麺つゆやタレを作らないでもいいのがなんともラクで、本当に重宝しています」
「サバ缶とびっくりするほどたっぷりのしょうがとねぎ、つゆプレッソを混ぜたり、カレーうどんにしたり、水で締めたうどんにしょうがとねぎをのせて、揚げたての天ぷらを添えて、つゆプレッソかけたりするのも好き。
にらたまつけうどんもおすすめですよ。やきつべのだしで取っただしにつゆプレッソを加えた贅沢なダブルだしに、溶き卵と刻んだにらを加えてすぐに火をとめてふたをしておきます。水で締めた麺をつけながらいただくと、止まらないおいしさ」
「おいしいだしさえあれば、料理アイデアが止まらない」というleikogaさん。教えてくださったたくさんのだし料理、ぜひお試しください。
取材・文/藤井志織
プロフィールleikoga
魚の皮やえびの殻、煮汁などもおいしくいただく「始末のよい料理」をコンセプトに、Instagramで日々のレシピを投稿。素材を生かした奥行きのある味わいと、気軽ながら本格的なメニューが注目を集めている。2025年2月に『始末のよい料理』(KADOKAWA)を出版。