• だしと私 2021.11.09

vol.38 泉貴之さん& 濱中鮎子さん夫妻

食いしん坊一家の幸せな食卓

昔ながらの家庭料理が得意な妻と、自然派ワインに合う料理を作る夫、そして離乳食のときから鰹だしが大好きな娘。泉貴之さん&濱中鮎子さん夫妻の日常は、ほがらかな笑顔とおいしいものであふれていました。

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ファッションブランドのディレクターである妻と、セレクトショップのディレクターである夫と聞くと、さぞや忙しい毎日かと思いきや、泉さん&濱中さん夫妻はいつも仲良く食卓を囲んでいる様子。

「以前は出張も多かったし、朝は9時に起きて11時に出社し、23時に帰宅するという忙しさでした。それが出産と新型ウイルスの流行によって、在宅時間が増え、早寝早起きの生活に。アパレルという仕事柄、展示会のシーズンは外出も多いけれど、週の頭に会議をして後半に外回りなどのアクションをする、週2日は在宅勤務、というリズムになりました」

と泉さん。コロナが蔓延し始めたのは、ちょうど娘が1歳になる頃でした。

「世の中は大変なことになってしまったけれど、夫が家庭に関わる時間が増えたことはよかったなと思います。ちょうど育児に手がかかる時期だし、それまでは夫は家にあまりいないものだと諦めていたので」

とはいえ、仕事と育児を両立させる母が忙しくないわけはありません。

「仕事から帰ってきて、1時間くらいでなにかしら料理をしてから娘を迎えに行きます。娘が帰宅してからは慌ただしくて焦ってしまうけど、なにか食べるものが少しでもあると安心だから。最初は娘には何をあげたらいいんだろうって、悩んだりもしていたんです。でも母に、『そんな難しいこと考えないでいいのよ』って言われて。凝りすぎると自分を追い詰めちゃうから、気軽にいこう。お味噌汁に野菜をいっぱい入れるようなことでいいんだって思って」

と濱中さん。ご主人も料理上手なので、ほどよく分担ができている様子。

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「夫はもともと料理好きだったわけではないけれど、最初はスパイスカレーにハマったのがきっかけかな。それからパスタを作ったり、肉を焼いたりとできるようになって。凝り性だからハマるんですよね(笑)。最初は何かを作るってなると、いい食材をたくさん買い込んでくる"ザ・男の料理"だったけど、今では冷蔵庫に入ってるもので適当に作れるようになりました。どっちが倒れても娘は飢えないと思うと、助かってますね」

と濱中さんが言えば、

「やっぱり自宅時間が増えたのが大きいかな。といっても簡単な素材料理ばかりです。妻が妊娠してからは、僕が友だちとおいしいご飯を食べに行っていても妻は行けない。ならば、外で食べておいしかったものを真似して作ってあげたいなと。だから基本的に、自然派ワインに合うものしか作りません(笑)。今は飲みながら料理するのが楽しくて」

と泉さん。

「特に伝えていなくても、娘はどちらが料理したかを把握しているみたい。ちゃんとそれぞれにお礼を言うんですよ」

そんな2歳の娘も、両親譲りの食いしん坊。

「本当によく食べるんです。離乳食にもよくだしを使っていました。いろいろ食べさせてみた結果、どうやらだしが好きっぽいな、と気づいて。以来、お味噌汁に野菜をいっぱい入れるのが定番になりました。凝ったことはしていなくても、だしがおいしいと飲み干すくらいなんです」

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お味噌汁はほぼ毎日作っているそう。

「とにかくおだしが好きなので。オムライスとかハンバーグとかは、あんまり食べないんです。だから外食時はキッズメニューに好みのものがなくて困るくらい」

あまりによく食べるので、家でのあだ名は"おかわりちゃん"だとか。

「離乳食を遅くから始めたこともあるのか、すぐに大人と同じようなものを食べられるようになりました。大好物は、なすの揚げ浸し。子どもがなすを好むなんて意外だったけれど、『なすだよ〜』って呼ぶと走ってくるくらい好き。ピーマンも揚げ浸しだとよく食べます。漬け汁ごと飲み干そうとするので、必死で止めてます(笑)。さすがにびっくりしたのはケール。オリーブオイルで焼いていたら食べたがったから、試しにあげてみたんです。一口で諦めるかと思ったら、『パリパリ!』って喜んでたんですよ」

なんとも大人舌な2歳児です。

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「調理法によっては食べないときもありますが、素材の味が好きなのかな。スキレットでにんじんをバター焼きしたものも1本ペロリと食べちゃいます。焼いたブロッコリーとか玉ねぎも好き。山芋を切って、深み鰹白だしでさっと炒めただけのものも『クッキー』って言って喜んでます。ほぼお父さんのワインのつまみですよね」

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泉さんの夕飯のお供はもちろん、自然派ワイン。

「だし料理をワインに合わせることもよくあります。自然派ワインには、いわゆる"だしっぽい"味があって、鰹とか梅のような風味を感じるんですよね。なら日本食も合うよねと、自然と料理にだしを使うようになりました」

そんな泉さんの印象に残っているのは、京都のレストランの料理だとか。

「〈ファームーン〉というレストランで、ハモをタジン鍋で蒸して、みょうがやしそといった日本の薬味を合わせた"だし蒸し"みたいな料理が出てきたんです。それが白ワインにすごく合って感動したので、家ですぐに真似しました。よく作るのはブイヤベースとか炊き込みご飯かな。まず、あさりを白ワインで酒蒸しして、お米と一緒に鍋に入れて、深み鰹白だしで調味して炊くだけ。おいしいですよ」

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最近はだしプレッソで作るポタージュにもハマっているとか。

「だしプレッソを友達にもらってから、まずはレシピブックを見てポタージュを作りました。ポタージュはコンソメとかを使うものだと思っていたけれど、そうか、だしで作ったらいいんだ!って。なにせ娘がだし好きなので、いろいろな野菜とだしプレッソでポタージュを作るようになりました」

ちなみに泉&濱中家では、食事の時間はいつも、愛猫のチャイくんも椅子に座って参加。

「鰹節を食べないという珍しい猫なので、食卓に手を出すことはないんですが、夕飯は一緒に囲むものと思っているみたい(笑)。家族の一員なので、我が家ではそれが自然なんです」

実はもうすぐ家族が増える予定。きっとだしが好きな食いしん坊が生まれてくるに違いありません。

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写真は泉&濱中家の必需品!

◆文中でご紹介した商品

だしプレッソ  各680円(税抜630円)
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深み鰹白だし 950円(税抜880円)
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取材・文/藤井志織


プロフィール

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濱中鮎子さん
Uhr ディレクター。セレクトショップでのPR、ブランドディレクターなどを経て、2018年春夏より、友人と共に自身のブランド〈Uhr(ウーア)〉をスタートさせる。uhr.co.jp
泉貴之さん
ピルグリム サーフ+サプライ ディレクター。〈BEAMS〉が初めて自社以外の看板を掲げて運営する〈ピルグリム サーフ+サプライ〉の日本におけるディレクターを務める。NYのブルックリンで生まれたセレクトショップなので、本国とのやりとりから、オリジナルコレクションのディレクションやセレクトのバイイングまでを手がけている。https://www.beams.co.jp/pilgrimsurfsupply/