• だしと私 2023.03.07

vol.49 udan 古賀路恵さん

 

季節の食材と自然派ワインにだしを合わせて

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熊本で〈udan〉として菓子を作りながら、ワインショップ〈Quruto〉を営む夫と3人の子どもと暮らす古賀みちえさん。古賀さんが家族のために作る料理と、夫が選ぶ自然派ワインが日常的にある食卓の幸せな様子をご紹介します。

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フランスのバスク地方での修行を経て、東京でお菓子を作る仕事をスタートした古賀さん。3人の子を出産する間に、舞台は東京から熊本へ。

「大学を卒業した後、和食店やカフェ、ベーカリーなどで働き、2008年に渡仏しました。最初は身一つでフランス南西のバスク地方にあるジュランソン村へ行き、レストランのパティシエとして1年修行。その後、パリのブーランジェリーを経て帰国。帰国後はレストランに勤務していて、結婚してからは夫が当時、経営していたワインバーを手伝っていました」

やがて長男が1歳の頃、夫の故郷である九州へ移住することに。熊本でワインショップ〈Quruto〉をオープンしました。

「私は長女と次男が生まれたため、イベントなどでたまにお菓子を作りながらも子育てに専念していました。2020年に〈Quruto〉の向かいの店舗に空きがでたので、お菓子のアトリエショップ〈udan〉をオープンし、お菓子作りを仕事として本格的に再開したんです」

 

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3人の子どもたちもすくすくと育ち、末っ子の次男が4歳になりました。

「幼稚園に行くようになったので、少しずつ自分の時間をつくれるようになって。今は〈udan〉を月に2〜3回オープンアトリエとしてお菓子を販売するほか、イベントに出店したり、お茶会のお菓子を作ったりしています」

古賀さんのシグニチャーといえば、フランス仕込みのガトーバスク。フランスではカスタードクリームや黒いさくらんぼのジャムがメインですが、〈udan〉では季節によって中身が変わります。

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「熊本は山も海もあるので食材が豊かで、生産者との関係性も近いのがいいところ。栗や柑橘など素材がとにかくおいしいので、季節に合わせてフィリングを変えるようになりました。食材の季節を追いかけるだけで大忙しです」

仕事に3人の育児にと多忙ななかで、毎日の炊事も古賀さんの担当。

「大変ではありますが、熊本の食材に助けられています。焼いただけ、蒸しただけの簡単な調理でもおいしいので、なんとかやっていけてる。ちょっと塩を足したり、だしで旨味を引き出したり、というだけで、手の込んだことはしなくても満足できるんです」

夫の仕事柄、日々の夕食には扱っている自然派ワインが頻繁に登場。

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「おかずもワインに合うものを、となるし、子どもたちも洋食っぽいものが好きなので、和食はあまり作ってこなかったんです。でも熊本に来てから、週に1度、県内の露地栽培の野菜を生産者さんに届けてもらうようになって、和食の頻度が増えました」

冬だと里芋や大根が多く、それを見ると自然とだしを使ったり、煮物にしたりしたくなるのだそう。

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「以前は作るものを決めてから食材を手配していたけれど、今は届いた野菜を見てから何を作ろうか決めています。この食材をどう料理したらおいしいかな、自分が食べたいものはなにかなって考える。子どもたちもきんぴらやおでんは大好きで、味がちゃんとしみていれば、煮物も食べてくれます」

そんななかで出会ったのが、やいづ善八のだし。

「だしは鰹節や昆布からちゃんととらなきゃ、だしは和食に使うもの、って思い込んでいたんですよね。簡易だしがあることは知っていたけれど、添加物や調味されているものは嫌だった。でもやいづ善八のだしパックには塩分も入っていないし、パッと気軽に使えるのがうれしい。知ってよかったです」

 

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使い慣れてきて、和食以外の料理にもだしを使うようになったとか。家族にも好評で、だしプレッソを使ったうどんやおでん、深み鰹白だしを使ったきんぴらや生姜焼き、煮物などに活躍している様子。

「特にだしプレッソが手軽に使えるので、毎日のお弁当に入れるだし巻き卵にも大活躍。ほかにも、和洋中関係なくボーダーレスに愛用しています。水分を足したいとき、水の代わりに昆布のだしプレッソを使ったり、野菜のポトフに使ってみたり」

実はここ数年、からだの不調があったことをきっかけに食生活を見直した古賀さん。アーユルヴェーダの考え方を取り入れることも、その一つ。

 

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「私の体質にはムング豆がいいらしく、スープに入れてよく食べています。冬だとかぶとベーコンのスープにムング豆を入れて、そこにだしプレッソ。アーユルヴェーダに使うギーという油分とだしの相性もいいんです」

忙しいからこそ、体調管理が重要。もうすぐ3年を迎える〈udan〉ですが、実は2023年末に移転予定。ワインも出せる喫茶コーナーも設ける予定だとか。ますます大忙しの古賀家ですが、オープンが今から楽しみです。

 

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 取材・文/藤井志織

 

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プロフィール

udan〉主宰。熊本で夫と3人の子どもとの5人暮らし。自然で安心な材料と、四季折々の熊本の素材を使ってお菓子を作っている。Instagram @udan_64